むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 検査ではわからない心の病

    なかなかわからない病気というものがあります。心療内科に来る患者さんの<身体表現性障害>などはその一つと思います。例えば胸が痛い時、循環器で心臓の検査をします。呼吸器に行けば肺の検査をします。整形外科に行けば骨や筋肉の検査をします。誰でも歳をとれば何かありますから、検査をするたびに新しい疾患が見つかります。胸が痛いからと循環器に行って見ると、狭心症かもしれないので、コレステロールと血圧の薬を飲みましょうと言われる。整形ではMRIで脊柱管狭窄があるからその薬を飲むようにと言われる。そうこうしているうちに、肝心の胸の症状は治らないまま、薬だけが3つの病院から合計20種類、ということになりかねません。

    こういう身体表現性障害の患者さんは、体調不良の原因がわからないのが気に入らなくて、とにかく病院を回ります。あちこちの病院に行っては検査を受けて、何か異常が見つかるとホッとするのです。「そのせいで調子が悪かったんだ。それを治せば良くなるんだ」と思うのです。しかし、それで解決すればいいのですが、検査するたびに病名だけは増えていき、結局良くならないという場合が多々あるのです。

    原因が心の問題やストレスの場合、検査をしても何も出てきません。そのような患者さんに限って検査や病名にやたらこだわるため、一日中どこが悪いんだろうと考え続けてノイローゼになったりするのです。考えていること自体がストレスとなって症状を悪くしている可能性もあります。体が悪いから体調が悪いのではなく、心の問題かもしれません。「そう言えばあの頃上司が変わってから体調が悪くなった」とか、思い当たることもあるかもしれませんよ。