むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 板藍根(ばんらんこん)その2

    板藍根が抗ウイルス効果を発揮するためインフルエンザの季節には重宝する生薬だというお話を数日前に書きました。まだ読んでいなかったら是非そちらをご覧ください。去年桜十字病院の門前のホスピタ薬局で漢方の生薬を扱うようになった際に私はバンランコンを入れてもらうように頼みました。実際に患者さんに処方することはなかったのですが、自分たちでそれを煎じて飲んで効果を確かめたりしてみました。

    そして今日訪問診療で桜十字病院の関連老人ホーム(さくら西館)を訪れた際に、食堂ロビーで板藍根茶をみんなに振る舞っている案内を見ました。なんと、100名ほどいる入居者さんたちに食事の際に飲んでもらっているそうです。これはとても面白いです。飲んだ人たちと、飲まなかった人たちの間にインフルエンザなどの発症率に差があるかどうかのデータを取りたいものです。もし、確かに感染症の罹患率が減れば、素晴らしいことです。患者さんにとっては、インフルエンザに罹ると老人ホームで蔓延しないように病院に入院となることが多く、入院してしまうと、感染者扱いされて行動範囲が極端に制限されます。リハビリなども受けることを許されず、あっという間に筋力が低下し、最悪の場合寝たきりになってしまいます。それが避けられるなら素晴らしいことです。病院にとっては、板藍根をお茶にしてサービスすれば、それだけの投資となりますが、入居者さんがインフルエンザにかかったりするとあっという間に施設全体に蔓延したり、職員にもうつったりして大変なことになります。それが避けられるのなら少々投資しても経営的にはプラスとなります。ぜひきちんとしたデータをとって、板藍根の効果について研究発表してもらいたいと思います。

    さて、最近も来院いただく患者さんの悩みを聞くと、あまりに大変でまるで24時間テレビの脚本がいくつも書けるんじゃないかというような症例に溢れています。一例一例丁寧に悩みを聞いて考えます。私が考えるのは患者さんに元どおりの幸せな生活を1日も早く取り戻してもらうにはどうすべきかということです。薬をどれにするか、その選択に考えをめぐらすこともあります。また、治療の流れを考えて、今日はこの処方にして、1週間後に来てもらったらこの薬を減らしてこっちを増やして、将来的にはこの薬だけで治療する、とか、そんな感じでずっと先まで読みます。囲碁をしたことはないですが、何手も先まで考えた後で次の一手を決めるというのは似ている気がします。以前書いたことがあったかと思うのですが、まっすぐ行ける道がないときには行きやすい方向にまず進んでから軌道修正するのです。最初からそのつもりで道順を考えます。

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