むらかみ内科クリニック

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  • フィンランドショック

    フィンランドショックという言葉をご存知ですか?この内容は僕も知っていたのですが、フィンランドショックという風に呼ばれていることは知りませんでした。これもこの前の統合医療学会で話題になったことの一つです。

    ネットで調べてもらうとすぐにわかるのですが、簡単にここに内容を書いておきます。

    疫学調査で、癌になりにくい人の食生活を調べると野菜の摂取量が多いことが明らかとなり、その中でもβカロチンの摂取量が多い方が癌になりにくいとわかった。そこで、喫煙者を2群に分けて一方にはβカロチンのサプリを飲ませ、もう一方は偽薬(βカロチンを含まないカプセル)を飲ませて追跡調査した。その結果、予想に反してβカロチンを飲ませた群のほうが肺がんの発生が多かった!その後、同じような研究を他施設でも行ったが、結果は同じでβカロチンのサプリメントは肺がんを増やすという結論に達した。これをフィンランドショックという。

    ということは、野菜を食べるとがんが減るという事実はあるものの、純化したβカロチンががん予防になるわけでなく野菜に含まれる様々なピタミンやミネラルが体にいいということなのです。このように考えると、世の中はいろんなサプリがありますが、それが本当に体にいいかどうかという科学的根拠はほとんどないわけです。フィンランドショックのように、逆に癌を増やすようなことがあってはもともこもありません。

    体にいいと信じられている牛乳にも注意が必要です。酪農の王国デンマーク、フィンランド、スウェーデンは日本人よりはるかに乳製品を摂っているが、大腿骨頸部骨折も非常に多いことが知られています。牛乳でカルシウムを摂取しても骨折予防できないのです。それどころか、牛乳を飲みすぎるとコレステロールが上昇する、乳がん、大腸がん、前立腺癌が増えることがわかっています。なんでも適量を超えるのは良くないということです。

    いつも結論は同じです。バランスよい食事をしましょう。

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