むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 犬のしっぽ

    犬の散歩に出かけると、犬は大喜びでしっぽをピンと立てて紐をぐんぐん引っ張ります。一方、いつも通らない道に入っていくと、電柱の匂いを嗅いでは尻尾の角度が下がっていきます。知らない犬の匂いがするのでしょう。いったいどんな犬か、匂いを嗅ぎながら怖がってテンションが下がっている様子です。

    患者さんの場合、表情や仕草、化粧の感じなどから見ているだけでテンションの上げ下げが感じられます。だいぶいい感じになってきたなーとか、まだいまいちかなーとか、いろいろ聞かなくてもだいたいわかります。

    私の診療では、診察時に訴えがいくつもある場合には困っている順番をつけてもらいます例えば、1:不眠、2:倦怠感、3:肩から後頭部の痛み、という感じです。すると、次回の診察では、表情などからいい感じかどうかは判断するのですが、1の不眠はどうなったか、2の倦怠感はどうか、という感じで確認していきます。すると、全然良くなっていません、と言って来院されても、案外最初よりは良くなっているのが確認されます。

    訴えの順番リストが新しく更新されると、処方もそれに基づいて新しく考えます。そのまま同じ処方で押す場合もありますが、その時その時で困っているものの順位が変わることが多いので、処方もそれに合わせるわけです。したがって私の処方は来院するたびに変更したりします。それは、血圧や糖尿の薬を処方するのとは全然違った点です。よく例えて言うのですが、熊本から宮崎へ行こうとする場合、直接(最短距離で)は道がないので、人吉の方へ行ったり、鹿児島まで行ったり、福岡まで行ったりしてなんとか宮崎へ向かいます。その時、鹿児島へ行く切符(熊本〜鹿児島の処方)と鹿児島から先(鹿児島ー宮崎の処方)は当然違ってきます。方向が違うのです。直接行くのが難しくても、どこかを経由しながら目的地へ達する。私の処方ではそれを計画して最初の処方その次の処方と変更することを前提としているわけです。まず一番困っているところを直す。それから直しやすいところから治す。それをこまめに繰り返しているうちに、たくさんある不定愁訴を全部やっつけるのです。

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