むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 標治(対症療法)と本治(根本治療)

    昼、外の気温は寒かったですが、日当たりの良いクリニックの2Fの部屋は日差しも暖かく春の予感でした。そして、夕方6時に診察が終わって外を見たらまだ明るいのでびっくりしました。つい数日前までこの時間は真っ暗でした。季節はどんどん春へ向かっています。学生さんたちは入試や国家試験など人生の節目の大切な時期です。暖かかったり寒かったり、雪が降ったり季節の変化が大きいこの時期、体調管理にはくれぐれも気をつけて大切な試験を乗り切ってください。クリニックにも、受験生の体調不良の相談がありますが、この期に及んであまり大胆な治療はできません。時間がありませんから、根本治療ではなく対症療法が中心となります。とりあえず症状を抑えておきますが、試験が終わってからまたゆっくり根本から治療しましょう、という流れになります。

    漢方ではこれを本治(根本治療)、標治(対症療法)と呼び、区別します。そして、今の治療がどちらに相当するかを意識して処方します。例えば頭痛にカロナール、これは痛みを取りますが、頭痛の体質が治るわけではないので標治です。普通に考えて本治(根本治療)が上手い人のほうが良い医者だと思うかもしれませんが、病気というものは根本治療がそれほどうまく行かないものです。実際、評判のいい医者は標治(対症療法)がうまい!あの先生にかかったら一発で痛みが取れた、などというのはたいてい標治がうまい評判です。

    まあ、そういった評判はともかく、私たちが薬を処方して病気をなおすときにはまず標治(痛みなど困っていることを治療する)を優先します。ゆっくり本治をしていたら、患者さんがしびれを切らして来なくなるのです。標治をして満足してもらってから根本治療に進む、これが治療原則です。

    うちのエアコンが壊れた話を昨日書きましたが、実はガス漏れでエアコンが動かなくなったのでした。根本治療は漏れているところを見つけて修理すること。しかしこれは相当難しく時間がかかります。とりあえずガスを補充してもらうと、どこも治ってはいませんが1ヶ月ぐらいはごまかして動かせる。これが標治。ガス補充をした後に部品を取り寄せて修理してくれる(本治)のはありがたい、とつくづく思いました。

    受験生の皆さんの合格祈願