むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • むくみの原因あれこれ

    足がむくむというのは多い相談です。むくむ原因はいろいろあり、みんな同じではありません。よくお年寄りが言われるのが、足がこんなにむくんだら自分もそろそろ最期が近いのではないか、という話。確かになくなる方はむくみがひどいことが多いですが、むくんだことと最期が近いは関係ありません。実際、訪問診療で看取りをする際にはひどくむくむ人はあまり見ません。最期にむくむのは病院でなくなる人達です。なぜなら、食事が取れないから点滴をする。熱があれば抗生剤の点滴をする。血圧が下がれば昇圧剤の点滴をする。だけど最期は多臓器不全で血圧も低く尿量も少なくなる。その結果がむくみです。訪問診療では老人ホームやご家庭で看取る場合点滴をしても1日1本(500mL)程度なのでほとんどむくむことはありません。たいていきれいな状態で最期を迎えられます。

    そこで、むくみの原因いろいろですが、上に書いたように水分のとりすぎ、腎機能低下というのが一つ。心不全も関連します。女性に多いのが立ち仕事で夕方には足がむくむというもの。これは病的でないことも多いです。その他、足の静脈に血栓ができて詰まってしまうと片足だけむくみます。また、足の皮膚に感染を起こすと熱感、発赤を伴った腫れを見ます。蜂窩織炎といいます。高齢者の場合、気づかないうちに骨折することがあり(例えばおむつ交換時など)それが原因で足が腫れることがあります。当然、痛みがあるので他のむくみとは違います。肝機能が悪くなり低たんぱくを起こすとむくみの原因となります。低栄養でも低たんぱくとなります。これは難治で、病院ではアルブミンという蛋白製剤を点滴することでむくみは改善しますが、効果は一時的です。

    これらの原因は採血やレントゲンなどでだいたい分かるのですが、何を検査しても異常ないけどむくんでいるというときはリンパの流れが悪いというリンパ浮腫を疑います。例えば乳がんの手術後は手術した側の腕が腫れます。手術に関係ないリンパ浮腫もあります。こういった場合はリンパドレナージュというマッサージ以外にあまり治療法がありません。実は、むくみによく使う防已黄耆湯という漢方薬があるのですが、このところメーカーの都合で入手困難となっています。当院からも大勢に処方していますが、次回来院の際には出せないかもしれません。困った事態となりました。