むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 痛風の治療:尿酸を下げる

    当院は訪問診療で老人ホームなどに100名近い契約患者さんがいます。この季節はインフルエンザワクチンを打っていますが、訪問診療の患者さんにも各お部屋に訪問しながらワクチン接種を行いました。今日で一通りみんなに注射が終わりました。通常訪問診療は私とナース1名で回るのですが、ワクチン接種のためこのところ3人体制で回りました。ぶじ全部終わってよかったです。インフルエンザワクチンはコロナワクチンと違って歴史も古く、副作用の程度もわかっているので気が楽です。アナフィラキシーなど起こす人はまずありません。コロナもインフルエンザみたいに安全なワクチンが早くできたらいいのですが、難しいのだろうと思います。現在KMバイオ(もと化血研)がインフルエンザと同じ方法でコロナの不活化ワクチンを作っていますが、まだ認可がおりていません。どうなるのでしょうか。

    さて、当院は痛風の治療を得意としているため、方々から患者さんが集まってきます。痛風は足の親指の付け根が歩けないくらい腫れて痛む事が多いのですが、人によっては足首の関節だったり、膝などにも痛みが来ることがあります。痛風の原因は高尿酸血症です。検診で尿酸が高いと言われた人は多いのではないかと思います。高尿酸血症から痛風発作を起こすのは尿酸高値を長年放置した結果です。蓄積した尿酸が関節内で炎症を起こすのだと言われています。そこで、痛風治療はまず関節の炎症をしっかり取り、痛みが出なくなるまで治療します。その後、尿酸が正常範囲以下になるよう下げていきます。血液中の尿酸濃度がかなり下がらないと組織に沈着した尿酸まではぬけないと予想されるため、尿酸値7(正常上限)付近で納得するのではなく、6以下までは下げたほうがいいみたいです。

    尿酸が上がる仕組みには2パタンあります。一つは尿酸の合成が盛んなもの。尿酸の材料となるプリン体を取りすぎると上がります。明太、数の子、ビールなどを避けましょう。次に、尿酸排泄遅延のパタン。これは日本人の6割はその遺伝子を持っていると言われており、尿酸を溜め込む体質があるのです。これから忘年会シーズン、お酒が増えると痛風になる人も増えてきます。飲み過ぎには注意しましょう。