むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • わびさびは不完全の美

    満月です。8日は月食もあるそうなので、見れたらいいですね。赤い月が登るとネットで見たので、夕方の天気が気になります。日本人は、満月のように完全なもの完璧なものが好きで、ものづくりでもとことん極める性格があります。一方で、茶の湯などの侘び寂びの世界では、完璧をちょっと崩したところに趣を見出します。茶道具もわざと少し変形していて、未完成風なところがいいとか、庭も落ち葉ひとつないところまで掃除した後にちょっとだけ色形の良い落ち葉を撒いておくとか、そんな意識的な不完全性が美とされます。月見も同じで、満月のまんまるお月様だけでなく、ちょっと欠けた13夜とか16夜に趣を感じると言う話もあります。

    それを考えると、人も完璧ではなく、少し欠けているくらいが趣があると言うものです。勉強はできるけど運動神経は鈍いとか、英語は完璧だけど日本のことを何も知らないとか、いろいろあります。自分のことを棚に上げて、同僚や家族に対して完璧を望むのは酷です。また、自罰的な性格の人は、何事も自分の不行き届きのせいだと自分を責めてしまいます。わびさびを知る日本人ですから、ちょっと欠けたような自分や家族や同僚のことをそれで良し、それがよし、欠けたところが面白みがある、と考えましょう。

    学校生活や会社での仕事では集団的な調和を強要されるため、人に合わせることが苦手な人は結構苦労します。しかし、コロナのおかげで、在宅ワークや在宅での受講が広まったいま、多少人と違った点はその人の弱点ではなく独自のカラーとして尊重すべきです。アメリカではDifferentという言葉が褒め言葉です。あなたは私と違う、他の人とも違う。人種、文化、宗教、食べ物の嗜好、みんな違って当たり前で、それが個性。それを重要視します。日本も人と違っていることは美点だと考え堂々と生きられる社会であってほしいと思います。

    辛島公園