むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • フレイル(加齢による心身能力の低下)

    数年前から医学会で流行の言葉があります。フレイルという言葉です。歳をとって運動機能や認知機能が低下した状態を言います。熊本地震の際は避難所で身動きが取れない環境で運動不足によるフレイルが問題となりました。そして昨今ではコロナ禍で引きこもり生活がフレイルの問題を大きくしています。これまでデイサービスや通所リハビリあるいは自主的にカーブスなどに通ったり近所のラジオ体操に参加していたようなお年寄りが、すっかり運動をやめて家に引きこもってしまった結果、フレイルが増えているということです。

    フレイルの問題は筋力低下で転倒しやくすなり、家の中でつまづいて骨折した、などよく聞きます。認知症が進んだという症例も多々あります。コロナには罹らなくてもフレイルで一気に身体能力が落ちてしまっては老後にしたいと思っていた夢も実現不可能となり、残念な結果になります。家にいてもできる限りスクワットなどの筋トレをすることをお勧めします。また、筋肉の元はタンパク質です。肉、魚、卵などを意識してたくさん食べないと筋肉量が低下します。コレステロールが上がらないようにと、食事制限するのはあまりお勧めできません。ただでさえ栄養不足なのに食事制限なんて、寿命を縮めているようなものです。

    土曜日はこのフレイルの勉強会に参加しました。漢方の人参養栄湯がフレイルに有効だというデータはたくさんあるのですが、日本全国の指折りの学者さんたちがなぜこの漢方が効くのか動物実験などを通して作用機序を解明した発表会でした。私が大学研究していた頃と比べ、ずいぶん漢方の科学は進んでいるのに驚かされました。科学的根拠があるのは頼もしいことです。しかし、私のような臨床家にとってはネズミの実験はどうでも良く、いかに患者さんを治すかの方が興味あります。

    今朝虹が出ました。クリニックのベランダにて