むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 心配が病気を作る

    訪問診療で認知症の人が多い施設にも行っています。認知症の人たちはみんな元気です。滅多に病気をしません。逆に、認知症のないお年寄りは訴えが多い!血圧が上がった、血糖が心配、夜眠れない、背中が痛いのは膵臓癌ではないか、手が痺れるのは脳梗塞ではないか、咳が出るのは肺癌ではないか、などなど心配し始めたらキリがありません。みんな不安障害やうつ病みたいにしています。聞きかじった知識でどんどん心配を膨らまして、さらに体調を悪くします。病気を自分で作っているようなものです。80過ぎてどうもないほうが珍しいですが、ちょっとしたことで、精密検査をすると、その年だと何か見つかります。それが訴えと関係あろうとなかろうと見つかってしまえば入院、手術、という流れになったりして、大変なことになります。さらに、その年でなにか見つけてもたいして予後に差がないかあるいは抗癌剤など使ったら逆に早死にするのが関の山です。

    高齢者に限らず、多くの病気は本人が心配し過ぎて悪化している例が多々見受けられます。最近だと、寒くなり血圧が少し上がる季節ですが、ちょっと血圧が上がっただけで一喜一憂して上がった、下がった、頭痛がした、動悸がした、と一日ノート1ページになるほど血圧を測ったり症状を記録したりされる人がたくさん来られます。まず、血圧は何度も測らないでいいと言います。朝1回、もしくは朝と寝る前の2回で十分です。病院の集中治療室並みに血圧を測ったとしても、いいことはあまりありません。上がった上がったと言って興奮してさらに症状が悪化したりします。

    不眠の人が夜何時に目が覚めて、トイレに行って、せっかくだから血圧を測って、それから寝付けず気がついたら何時だった、と事細かな睡眠日誌?を書いて来られますが、そんな記録をするから眠れないのだと思います。まず、夜に何時に目が覚めたとか、いちいち時間を確かめないこと、そして、電気をつけて記録したりしないことです。不眠の人の多くは時間にこだわります。朝まで目覚ましを見ないようにしましょう。