むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 研究職と臨床医

    新聞を開くと、訃報の欄に高月清先生が載っていました。90歳。私が医学部を卒業して熊大の第2内科に入局したときからお世話になった教授です。AIDS研究の礎を築いた先生で、ノーベル賞候補と噂されていましたが、残念ながら受賞する前に亡くなられてしまいました。その数日前には前田浩先生の訃報が載っていました。前田先生からは少ししか習ったことはないのですが、医学部時代に微生物の教授でした。活性酸素などの当時の最先端を研究され、その後ドラッグデリバリーシステム(DDS)という分野で目覚ましい研究成果を出され、こちらも日本人でもっともノーベル賞に近いと言われていました。訃報を聞き、とても残念でした。

    私は、大学で長年研究生活をしていたので、大学で研究生活をする大変さを身をもって体験しました。たえず最新の知識を勉強し、更に自分なりのアイディアで仮説を立て、実験で証明し、論文を書いたり学会で発表したりする。そのアイディアが学会や専門家の間で認められれば自分の書いた論文を参考文献として他の人が引用してくれるようになる。その引用回数が論文の価値となり、将来教授選にでるときに評価される、そんな仕組みです。私は留学していたこともあり、何百という論文を書きましたが、研究職に見切りをつけて臨床医になる道を選びました。

    研究職から臨床の道へ方向転換したのは留学から帰ってきた2004年のことでした。40歳を前にしての方向転換でしたが、大学病院にもどって若い新卒の研修医の先生たちと一緒に必死になって勉強し、内科認定医、循環器専門医などをとりました。その後10数年たち、50歳を目前にクリニックを開業しました。やる気さえあれば年は関係ないと思います。