むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 恩師の講演会で勉強

    わたしは熊大の循環器内科の同門です。私が大学にいた頃の恩師は小川久雄教授でした。小川先生は、熊大教授から国立循環器病センターの院長・理事長となり、今年の4月、熊大の学長として戻ってこられました。素晴らしい経歴です。土曜の午後、サクラマチの熊本城ホールで、小川先生の主催する勉強会があり、参加してきました。折しも、熊本市内は新型コロナの警戒レベル5がでたばかりで、人通りも少なくなり、参加者はわずか数える程度でした。しかし、この勉強会は小川先生の凱旋講演会ですので、小室東大教授などそうそうたるメンバーが集まり講演をしていただきました。少人数でとても贅沢な会でした。

    大学を離れて何年も経つと、大学のアカデミックな雰囲気を忘れてしまいます。同じ医者でも、大学では診療だけでなく研究が主な役割ですので、世界を相手に学術的なデータを集めたり解析したり、論文を書いたり忙しくしています。わたしたちが、毎日血圧の患者さんなどを相手に忙しくしているのとは、忙しさの内容が違います。私は、アメリカに留学して研究職を随分続けましたが、もっと患者さんに近い近所のかかりつけ医になりたくて大学を出ました。

    今日聞いた話で印象にのこったのは、心電図解析も人工知能(AI)の時代、という話。心電図解析は、わたしたち専門医が12誘導(一般的に心電図検査は全部で12種類の心電図の組み合わせとなる)をみて判読します。見るべきポイントはいくつもあり、職人わざなのですが、AIに健常者と心疾患(例えば心不全)の患者の心電図を読み込ませて学習させると、12誘導の組み合わせでなく、たった一つの誘導を見ただけで診断が可能となったという話。驚きです。AIははるかに人の能力を超えたところで実現しています。