むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 血圧の背景にあるもの

    高血圧の新患さんは毎日のように来院されます。健診で血圧が高いと言われた、とか、頭痛がするので血圧を測ってみたら高かった、などなど。気温が下がってくると、血圧が上がることが多くなります。寒さで血管が縮むため、血管抵抗が高くなるのです。物理でオームの法則(E=IR:電圧は電流と抵抗の積算)と習ったのは中学時代です。電気の常識は血圧にも応用できます。すなわち、血圧=血流X血管抵抗となります。血流は循環血液量に比例します。脱水になれば下がるし、水分が多すぎると上がります。ただし、血液は塩分による浸透圧が厳密にコントロールされているため、水をがぶ飲みしても尿量が増えるだけで血液量は一定に保たれます。一方、塩分を取りすぎると、血液が濃くなりすぎないように水分が血管内へ入っていき、循環血液量が増えます。結果、血圧が上がります。

    ・・・私たち循環器内科医は高血圧の患者さんを目の前にして、いつもこのようなことを頭で考えながらこの患者さんの血圧はどうして上がったんだろうと推測します。それにしたがって最適な治療薬を選ぶのです。

    なぜ血圧を下げたほうがいいのか?戦前はほとんど血圧の薬もない時代でした。フランクリン・ルーズベルト大統領は血圧300/170mmHgで脳出血を起こして亡くなっています。血圧の薬がなかった時代は悲惨でした。一旦脳出血を起こすと、命は助かっても半身不随です。昔は中風(ちゅうぶ)と言っていました。血圧の薬は始めたら一生続けないといけないから、薬をのみたくないというのは本末転倒です。半身不随になって不自由な老後を過ごすか、旅行や孫の世話などをして楽しい老後を過ごすかの分かれ道が、血圧の薬をちゃんと飲むかどうかにかかっているのです。

    高齢になると、血管が固くなります。しなやかさを失った血管は心臓からの圧力を吸収できず、血圧の変動が大きくなります。あるときはとても高く、あるときは低くなります。これは治療が難しいです。薬で下げると下がりすぎます。こういう場合、私がすすめるのはビタミンCとEを大量に取ることです。血管が丈夫になり、破れにくくなります。たかが血圧、されど血圧。コントロールが難しい場合、循環器を専門としている我々にご相談ください。