むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • 堂々巡りの話を根気強く聞くコツ

    老人ホームへ往診(訪問診療)に行くと、2週間分のつもる話が待っています。2週間ごとに訪問するからなのですが、日頃ホームで感じた疑問は、誰に聞くでもなく悶々とうちに秘めていて、私が訪室したらここぞとばかりに質問の嵐です。お年寄りは同じ話を何度もされるので、本当は、それはさっき言ったように・・と答えたいのですが、根気強く何度も同じ質問に答えます。いつこの堂々巡りは終わるのだろうと思いながら、患者さんが満足するまで話を聞きます。同じことを4回か5回くらい聞いたら、だいたいわかったような顔をして満足されます。耳が遠いのもあると思いますが、一度だけ答えて、後の話の腰を折るようにすると、患者さんはきちんと答えてもらえなかったと思います。同じことを5回くらい聞き直し、こちらもその質問に5回答えてはじめて、わかりました。ありがとう、と言われるのです。

    私は仕事ですから根気強く話を聞きます。ほとんど修行と思って同じ話をなんども聞いています。しかし、家庭ではさぞ大変だろうと思います。その話はさっき答えたでしょう、といって、家族が腹を立てると関係性は悪くなります。忙しい、時間がない、お年寄りの質問が非科学的だ、と、聴く側の言い訳も山ほどあると思います。

    最終的に大事なのは心の余裕、時間の余裕、そして相手に対する尊敬と愛情だろうと思います。私の場合、高齢患者さんに限らずよくわからない話を延々される患者さんが来院されますが、根気強く話を聞いているつもりです。そのコツは、話の内容だけではなく、相手がその話をしたいと思った背景や動機、心理状態などに注目しながら話を聞いているところです。