むらかみ内科クリニック

院長ブログ

BLOG

  • マスクで顔が見えない診療

    最近は患者さんのほとんどがマスクをしています。目は見えるのですが、顔の半分以上が隠れていると、元気なのか元気でないのかわかりにくいですね。特に、気を使われる人は「おかげさまで随分良くなりました」と言いながら、全然良くなっていない場合もあります。その返事が本心なのか、お世辞なのかを見抜くには相手の顔をじっくり見るしかありません。顔全体が見えていれば、瞬時に本当かどうか判断できるのですが、目だけだと、相手を見抜くのに時間がかかります。じっと相手の目をみて、その目の奥に潜んだ感情まで見ていきます。

    一方、診察する私の方ですが、私はマスクが嫌いです。息苦しい、耳が痛くなる、声がこもってお年寄りには聞き取りにくい、などいろんなデメリットがあります。ただ、最大のデメリットはそういうものではありません。実は、いろんな不安を抱えて来院している患者さんに、大丈夫ですよ、心配いりませんよ、と言葉で伝えてもたいして安心してもらえません。そこで、自分の表情を精一杯の笑顔にすると、多くの患者さんは安心されます。目だけでなく、口角もあげて微笑むと、患者さんの表情も鏡のように緩みます。

    しかし、私がマスクをして、目だけで患者さんに安心のパワーを送ろうとすると、顔全体でパワーを送るとき程の効果は出ません。倍以上の心を目の表情に込めないといけません。なので、マスクでの診療は疲れます。しかし、これは私にとっての修行です。マスクで顔を覆って目力だけで患者さんを癒やすパワーを習得できれば、向かうところ敵なしです。

     

    熊本地震(本震)から4年ですね。激動の4年でしたが、コロナ禍であの時よりさらに大変な現在、みんなで力を合わせて乗り切りましょう。