むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 水を水で制す

    昨日、たけしの健康番組を見ていたら、めまいの話をやっていました。私も2ヶ月ほど前にめまいを起こして以来、めまいの治療には興味を持って研究しています。番組で言っていたのは、毎日水を1.5L以上飲むとめまいが治るというもの。1例ですが、番組で検証した被験者の方は4日目くらいから改善していました。びっくりです。

    めまいの原因にはいくつかありますが、内耳のリンパがうっ滞して浮腫を起こしたときにめまいを起こすと言われています。浮腫が原因ですから、内耳付近は水過剰な状態なのです。そのため、耳鼻科では利尿剤を治療薬として出されます。私たち漢方専門医も水分の代謝を改善する苓桂朮甘湯や五苓散を処方します。めまいには一定の効果を発揮するので、たしかに水の問題があるのだと思います。しかし、番組では水を飲んだら治るとのこと!我々の常識からすると反対です。逆に水を飲みすぎないようにしてもらいたいと思っていました。

    結局、毎日大量の水を飲むことで腎機能は活発化して利尿が進みます。また、水分過剰になることで体はこれは大変と血管の外から血管の内側へ水分を引き込み、積極的に水分を体外に排除するようになるのだと思います。脱水気味だと、変なところ(内耳など)に溜まった水分もせっかくだから大事にとっておこうとするのかもしれません。そう考えると本当におもしろい現象です。水を水で制すということです。なお、耳石が原因で起こる良性発作性頭位めまい症はこの水を飲む方法では改善しないと思われますので、お間違いなく!