むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 人を治す vs 画像を治す

    先日、産婦人科漢方勉強会に参加したときのことです。産婦人科の世話人の先生が挨拶(リップサービス?)で言われた言葉が印象的でした。「私達産婦人科医は画像を治している。漢方医は人を治している」ありがたい褒め言葉です。画像を治すという意味は、画像で発見した子宮がんなどを手術したり放射線治療したりしてきれいにして、もう一度画像を撮って「治りました」という、という意味です。そこに治療される「ひと」がいるはずなのですが、興味は画像の中にある腫瘍であり、それを取り除くのが使命だと思って仕事をしているわけです。

    逆に私達漢方を専門にしていると、画像診断はあまり当てにしていません。西洋医学的診断は参考にするのですが、それが全てではありません。例えば腰痛がある場合、西洋医学(整形外科)ではMRIをとって骨が変形しているとか脊柱管が狭窄して神経を圧迫しているとかわかったような理屈で説明します。一方、漢方的には骨盤の歪みが問題とか、猫背が負担になっているとかダイナミックな異常を指摘して治していきます。

    結果、西洋医学では狭いところを治療しても治る確率は50%程度。漢方や針を使って治療すると治療効果はそれ以上期待できますが、MRIをとってみると、腰痛が治った人でも狭窄は治っていません。結局、狭いところが神経を圧迫しているというもっともらしい説明は嘘だったということになります。画像を治しても症状が治らない、逆に画像は治らなくても症状は治る。東洋医学と西洋医学の不思議な関係です。