むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 見守りの重要性

    以前書いたことがあるのですが、もう一度かきたいので、書かせてください。新学期になると、学校の近くの交差点には横断中の手旗を持った先生が立っています。自転車に乗った生徒たちは先生の誘導で歩道を渡るわけです。クリニックの前は高校なので、先生たちが誘導しているのは立派な高校生たちです。もうとっくに自立できる年です。それを、先生が旗を振って、どんどん渡らせるのは自立の芽をおる行為だとわかっていないところが問題です。

    本来なら、信号のない歩道を渡るときは一旦止まって左右確認して渡ります。それを、先生が立っていると、左右確認することを許さず、急げ急げ、どんどん渡れ、と指導するのです。これでは教育とは丸反対です。先生が立つだけ生徒は悪い癖(左右確認せず車道に飛び出す習慣)がつくのです。先生がすべきは、黙って見守ることです。左右確認しなかった生徒に道の渡り方を教えたり、おしゃべりに夢中で歩行者のじゃまになっている自転車を注意することです。

    介護でも同じです。何でもかんでも手伝ったらすばやく終わるので介護する人にとっては仕事が早く終わっていいのですが、それは介護される側の機能訓練になっていません。ご飯やトイレなど基本的な日常生活はできるだけ自分でできるように見守りたいものです。見守りは辛抱であり、多少のリスクの覚悟も必要です。ただ問題なのは、最近介護施設であった窒息事故の裁判で看護士さんの過失が認められたことです(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20190325/k10011860111000.html)。法曹界がそんな考えだと、見守りはリスクが大きいので、なんでもかんでも安全第一で介助して、患者さんの幸せなど二の次になります。時代がそうしろと言っているのなら逆らえないかもしれませんが、みなさんはどう思いますか?