むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 睡眠薬の新しい話題

    先日は診療が終わったら直ちにクリニックを出て医師会主催の研修会に参加しました。開会10分前に会場入りできたのですが、大入り満員です。なんとか座るところを確保しました。ざっと300人はいそうです。研修会のテーマは「睡眠薬」です。今回の診療報酬改定で、デパスやマイスリーなどを漫然と投与し続けると処方した医師(クリニック)にはペナルティーとして診療報酬が減額されることが決まりました。睡眠薬を投与することで損が出る仕組みとなったことから多くのクリニックではかかりつけの患者さんに「今後睡眠薬は処方しません、心療内科や精神科にかかってください」という流れになっています。

    そうは言っても、私たち心療内科を標榜しているクリニックでも、睡眠薬をもらいに患者さんに殺到されては大変です。減額されるのはこちらも同じなのです。こちらも、対策として、研修を受けて備えないといけません。また、ベンゾジアゼピンという種類の睡眠薬や安定剤をやめてもらう努力をするしかありません。推奨されているのはロゼレムやベルソムラという比較的安全な睡眠薬に置き換えることですが、やってみると睡眠の質が悪くなる人が多く、やっぱりマイスリーやデパスを出してほしいと言われることが結構あります。

    そこで次に推奨されているのがクエチアピンやテトラミド、トラゾドンというベンゾジアゼピン以外の薬です。眠くなる抗うつ剤や向精神薬です。こっちのほうが従来のベンゾジアゼピンより安全だと言われています。しかし、最近は常識と思っていることが数年で覆されます。今の常識は数年後の非常識です。つねに流行りに流されることなく、自分の観察眼を信じて行きたいと思います。デパスやマイスリーを使っている患者さんが、時々漢方薬で眠れるようにしてほしいと言ってこられますが、断っています。絶対無理だからです。デパスやマイスリーの強さを漢方と比較すれば、10倍くらいでしょう。簡単に置き換えることは出来ません。もし運良く前述のベルソムラやロゼレムに置き換えることができれば、その先で漢方にすることも可能かもしれませんが、1年以上かかると思います。従来の眠剤はそれだけ強く習慣性があるということです。

    なんだか、お内裏様とお雛様が逆のような気がしますが・・・

    PS; ググった結果、上の写真のようにお雛様を向かって左に置くのは京都風、京都以外ではその反対に配置するそうです。