むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 抗がん剤と漢方と

    今年のノーベル医学生理学賞は本庶佑(ほんじょたすく)先生に決まりましね。免疫療法で画期的な成果を上げていますから、評価されてよかったと思います。ところで、私は循環器が専門ですが、循環器内科で扱う心臓、血管系にガンはほとんど発生しません。心不全、心筋梗塞など命に関わる疾患は多いのですが、がんになることはないため、循環器の医者はほとんど抗がん剤を使いません。

    私は循環器内科に入局する前は血液内科が専門でした。血液内科では、白血病という血液の癌があるため抗がん剤の使用は毎日の仕事でした。今も、済生会や日赤などの腫瘍内科や化学療法の専門外来では、血液内科の先生が活躍しています。そういうわけで私は医者になってしばらくは抗がん剤を使うのが仕事でしたが、今とは時代も違うため、使った抗がん剤も今のものとは比べ物になりません。副作用も強く、大変な時代でした。

    その頃、抗がん剤を使うと食欲が低下して体力も落ちていつまでも退院できない患者さんが大学病院にはたくさんおられました。そこで私は当時勉強したての漢方の知識を駆使して補中益気湯など体力を上げる漢方治療を始めました。抗がん剤治療を受けた患者さんで、私が担当した患者さんたちからは今回の化学療法は回復が早く助かりましたとお礼を言われたのが嬉しく、どんどん漢方の勉強にはまってしまいました。それが私の漢方の原点です。

    広木公園内