むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 匂いと認知機能

    匂いがわからないとのちに認知症になる、とまことしやかに言われています。それを過剰に心配して来院される方もありますが、それは必ずしも正しいとは限らず、心配しすぎても仕方ありません。例えば花粉症や副鼻腔炎で鼻に慢性的な炎症がある場合、鼻にある嗅覚神経にもダメージがきて匂いがわからなくなるということはざらにあります。これは認知症と全く関係ない話です。

    認知症で匂いがわからなくなるのは嗅覚神経が脳に直結しており、認知症で問題になる海馬(脳の記憶と関係した部分)の萎縮と嗅覚の鈍麻に関連があるらしいのです。それなら記憶と匂いが関連しているというストーリーは正しいかもしれませんが、その逆は必ずしも真ではありません。つまり、嗅覚が低下している原因の一つとして認知機能低下が関連するということはあるかもしれませんが、それ以外にも原因があるわけなので、1対1の密接な関連があるわけではないのです。

    ただ、匂いがするにしろしないにしろ、認知症は若いうちから意識して予防しないと遅れてしまってはどうしようもありません。血圧とコレステロール、血糖を管理することは必須です。頭に良いとされるビタミン類やEPA, DHAなどの脂肪はきちんと取っておくこと。心房細動などの不整脈はきちんと治療すること。運動をして筋力低下を避けること。テレビなどをボーと見る受け身生活習慣を改め、本を読む、新聞を読む、人と会話するなどアクティブな生活をすることが大切です。