むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 食事指導

    食事指導といえば、高血圧の人の減塩、コレステロールが高い人に油ものを食べすぎない、糖尿病の人に甘いものを控える、などと通り一遍のことを思い浮かべるかもしれません。私の外来では、こういった生活習慣病の食事指導はあまり口うるさくは言わないようにしています。そんなひと言で改善するとは思えないからです。

    例えば糖尿病の食事指導を大きな病院では栄養士さんが行います。おそらく、カロリー計算表を説明して、何が何カロリーだから、1日3食で1800カロリーの抑えるには、これとこれで何カロリーになります、などと電卓片手にお勉強、みたいな世界になります。しかし、私はこの食事指導は片手落ちだと思います。

    毎日何を食べているか、誰が作っているのか、誰と一緒に食べるのか、買い物はどこに週何回行くのか、そういう情報に基づいて個々に考えるべきです。例えば、高齢者の独居で自分ではほとんど料理できないため、ご飯と漬物とたまに家族が持ってきた食材しか食べないという人にはカロリー計算の方法を教えても仕方ありません。いかにきちんと3食食べてもらうかの工夫あるいは支援の方法を考える方が先です。こういう個別に対応した食事指導は時間もかかるしマニュアルがないため経験がないとむずかしいものです。通り一遍の食事指導なんて、時間とお金の無駄だと真剣に思っています。