むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 逃げるは恥

    「逃げ恥」といえば、一世を風靡したTVドラマを思い出しますが、今日はその話ではありません。今回の豪雨で100人を越す尊い人命が失われました。気象庁は数年前から以前の警報の表現を変えて「50年に一度の大雨が予想されます」とか、「まずは命の助かる可能性の高い行動をとってください」と警告トーンを高めて来ました。しかし、災害のたびに亡くなる人の数は減ることはありません。結局、日本人にはあの様な警告はなんのことはない「ひとごと」なのです。なぜかということをずっと考えていました。そして行き着いたのが、「逃げるは恥」という文化です。おそらく鎌倉時代くらい迄さかのぼった武士道に端を発すると思うのです。源平合戦で平家はチリジリバラバラに山奥へ逃げて現在に至ります。熊本も山間部に行けばその子孫の姓を持った人たちはたくさんおられます。おそらくこの頃から逃げるは恥という気持ちが脈々とながれているとおもいます。そして、昭和の第二次世界大戦でも銃を持ったアメリカ兵と竹やりで戦ったご先祖がいます。怖かったでしょうが、逃げるは恥という気持ち一つだったと思います。

    そういう武士道や、精神的な美学に通じる「逃げるは恥」があだとなって大雨の警報が出ていても先祖代々受け継いだ土地を離れることをせず無謀にも自然相手に戦ってしまうのではないかと思います。アメリカだったら、台風(ハリケーン)の進路予想を見て1週間前からさっさと休暇申請を出してとにかく逃げます。車で行けるところまで行きます。そういうサバイバルの文化があります。

    では、日本人を逃げさせるにはどうしたらいいでしょうか?携帯でうるさくキンコンと警告音を鳴らしてもなんの意味もないのはこれまでの地震や水害でよくわかりました。結局、隣保みんなで声を掛け合って「みんなで」逃げることです。日本人が一番弱い言葉は、「みんなやってますよ」という言葉です。単一民族ですから自分だけやっていないことにとても不安を感じるのです。そういう心理作戦以外ないと思います。