むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 適応障害と抑うつ

    私たちのような心療内科を標榜するクリニックにくる患者さんは抑うつ状態の方が多く、昔から精神科で扱うような難しいうつ病とは病態を異にします。多くの場合、いわゆる適応障害に伴う抑うつ状態です。適応障害というのは会社などの環境にうまく適応できずに気分が落ち込み、不眠、頭痛、吐き気などがあるといった状態です。原因としては、大きく分けて職場環境要因と自分自身の要因の2つに分けることができると思います。

    職場環境による適応障害は、過重労働によるものが多いと思われます。震災後むちゃくちゃ多忙、残業が多い、同僚が辞めたぶんのしわ寄せ、などが多いですが、理解のない上司、取引先からの無茶な要求などもあります。一方、自分自身の要因としては、要領が悪い、何度もミスをする、指示されたことを正しく理解できない、仕事がはかどらない、疑問点を同僚や上司に相談するのが苦手、などなど様々考えられます。

    こういう状態で抑うつ状態になった患者さんに、「◯ケ月の静養を要す」と診断書を書いて休ませるべきかどうか、いつも考えます。当然、過重労働が原因となっている場合、休養が最も大切です。しかし、自分の要領が悪いとか、コミニュケーション能力が十分でないことが原因で職場でうまくいっていない場合、果たして自宅療養が治療になるのでしょうか。もちろん、すごく落ち込んできついときは休みを取るべきです。しかし、まだ元気が残っていて、仕事にも行けるような場合、強制的に休みを取るのではなく、上司や同僚に相談したり、自分の問題点を解決する工夫をしながら少しでも勤務を続けたほうがいいのではないかと思っています。もし会社を辞めて転職しても、自分の方に問題があればなんら解決になりませんから、また上司から睨まれてうつになる、という繰り返しが予想されるのです。患者さんにとって何かベストか、というのは本当に個別対応であり、パタン化できないと思います。

    台風前の真っ赤な夕日・クリニックの駐車場にて