むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 早く効く漢方もある

    漢方は長く飲んで効くというイメージがあります。しかし、それは実は正しくはありません。漢方には、即効性のあるものと、ゆっくり体質改善をするものとあるのです。

    例えば風邪に効く葛根湯や麻黄湯は今の風邪症状を治す薬ですから、1ヶ月飲まないと効かない、なんてありえません。飲めばすぐに体が温まって寒気や頭痛が取れます。一方、同じ風邪薬でも、体力をつけて風邪をひきにくくする処方があります。例えば補中益気湯という処方は、年中風邪がぬけないとか、治ったと思ったらまた風邪をひくというような人に適しており、長く飲んでいるうちに風邪をひかない丈夫な体になります。もともと体力があっても、がんの治療をするときや手術を受けるとき、あるいは試験前でどうしても風邪なんか引いている場合じゃないときなどは、あらかじめこの処方を飲んでおくことで風邪や肺炎の予防になることがわかっています。

    漢方の専門医ならその辺を分かった上で処方しますが、知らない人にとっては、あまりそういうことを書いてある本は少ないですからなかなか調べてもわからないと思います。そういう人に、早く効く薬かゆっくり効く薬かを判別する方法があるので伝授します。漢方薬は生薬の組み合わせでできています。例えば芍薬甘草湯は芍薬と甘草の2つの生薬を煎じたものです。この構成生薬の数が少ないほど即効性があります。逆に構成生薬が10以上あるようなら長くのんで効く処方になっています。

    さらには、単純な構成の処方は数日飲んだらやめること。長く飲むと副作用の心配があります。漢方だから安全というのは思い込みです。構成がシンプルな処方は西洋薬に似た単純な成分が入ってきますから、副作用も西洋薬のように出ると考えた方が理にかなっているのです。

    早朝、西に沈む満月と三重塔です。