むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 不眠について

    不眠は一日の外来患者さんの中でもかなり多い訴えです。「最近眠れないんです」といわれたときに、単純に「では睡眠薬を出しましょう」というわけにはいきません。それは、患者さんごとに眠れなくなった原因が違うからです。

    職場のことや家庭内の問題で心配事があって眠れない人、自分や親の病気のことが気になって眠れない人、旅行などに行くと環境が変わって寝れないひと、夕食後寝てしまって、夜1時頃に目が冷めてそれから眠れない人などさまざまです。そういうなか、うつ病のような状態で眠れなくなった場合がありますから、睡眠薬で眠れるようにすれば解決、というわけにはいかないことが多々あるのです。

    また、以前は睡眠薬より安定剤のほうが軽いからいい、というふうに考えられていましたが、これは間違っていることが明らかになっています。睡眠薬は昔に比べて癖になりにくく安全なものが出てきています。それに比べて、デパスを始めとする安定剤は依存症になってやめられないし、将来的に認知症のリスクにもなります。今では睡眠目的にデパスを処方することは殆どありません。寝酒も睡眠にとってはあまりよくありません。睡眠が浅くなり、寝付いても途中で目が冷めやすいのがお酒の特徴です。依存になりやすく肝臓その他にも負担となりますから、寝るためにお酒を飲むのはおすすめできません。

    漢方薬で眠れるようにしてほしいという希望が時々あります。症状が軽い場合はそれも可能ですが、西洋薬ほどの効果はありませんから無理に漢方にこだわる必要はないと思います。まずはしっかり寝て疲れを取ることが先だと思うからです。