むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • うがい手洗い

    風邪予防にパッと思いつくのはうがい手あらいでしょう。

    うがいは効くのか?これはかなり難しいです。喉についた細菌やウイルスがうがいで100%除去できると仮定しても難しいです。なぜなら、ウイルスが喉から体内に侵入する(感染が成立する)のには15分から20分ほどと言われていますから、10分おきくらいにうがいをすれば感染が防げるかもしれませんが、現実的にそれは不可能だからです。また、以前うがい薬といえばヨード系のイソジンでしたが、イソジンのうがいと水道水のうがいを比較した場合、水道水でうがいした群のほうが風邪が少なかったという驚くべき事実が発表となり、一気にイソジンの使用は減少し、ついには発売が中止となりました。イソジンの殺菌効果は本物なのですが、それを使ったうがいが効くかどうかは別の次元の話だったわけです。喉の粘膜がやられて感染を増やしてしまった可能性があります。

    それと似たような話で、薬用石鹸があります。トリクロサンとトリクロカルバンという薬用石鹸に入っている物質は安全性の問題からアメリカでは使用が禁じられています。抗菌効果があるのと、手洗いに使っても大丈夫かどうかという問題は別なのです。日本ではまだ禁止されていませんから、普通に売られています。薬用石鹸の類は成分をよく読んでチェックしましょう。そもそも手洗いに抗菌効果のある物質を使う必要は全くありません。医療の現場では、どんな石鹸で手を洗うかよりも、手の洗い方そのものに重きが置かれます。また、流水で30秒以上かけて洗うことが大切です。30秒というのは結構長いので、皆さん自分の手洗いを測ってみてはいかがでしょうか?

    手洗いの代わりにアルコール消毒という手もあります。速乾性のアルコール消毒は有効です。私たちも診察のたびに手を洗う暇がない場合、アルコール消毒をします。ただし、注意しないといけないのは胃腸炎の原因となるノロウイルスはアルコール消毒できません。流水での手洗いが最も有効です。ノロウイルスには次亜塩素酸(ハイターのような塩素系漂白剤や哺乳瓶を消毒するミルトンなど)が有効です。キッチン用ハイターなら1000倍くらいに希釈したものを使います。胃腸炎の人が家庭内で下痢や嘔吐をした後は必ず塩素系の洗剤をスプレーしておきましょう。病院では胃腸炎の人がトイレを使った後は必ず職員が塩素系スプレーで消毒しています。便器だけでなく、トイレをフラッシュするスイッチやドアノブなどの消毒を忘れないようにしましょう。おたくのトイレ用洗剤は塩素系でないかも知れませんよ。チェックしておきましょう。

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