むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ノロウイルスによる感染性胃腸炎と漢方

    毎年冬になるとノロウイルスによる感染性胃腸炎がまん延します。嘔吐と水様性の下痢が特徴ですが、人によってはムカムカするだけだったり、一回だけ下痢して治るような軽症もあります。ただ、多くの場合、嘔吐と激しい下痢のため脱水状態となり、かなり体がきつく、大変な思いをします。吐き気で食事も取れず、水を飲んでも吐いてしまいます。また、子供が嘔吐下痢になると、その世話をするお母さんなど家族内に広がります。一度かかると、体調が戻るのに5日から一週間ほどかかります。病院でも、たいてい吐き気止めを注射したり、点滴したりしますが、ノロウイルスそのものに効く薬がありませんから、いずれも対症療法です。

    そういう中、私のクリニックでは漢方薬を使います。患者さんの状態によって数種類の漢方薬を使い分けるのですが、ほとんどの場合飲んだその日か翌日には回復します。いつも3日分の処方を出すのですが、3日以上長引くことはめったにありません。

    とくに老人ホームではオムツをしている人も多いため、いったん感染性胃腸炎が発生すると、オムツ処理する職員さんにも感染し、あっという間に施設内で大流行してしまいます。高齢者では、死亡に至る場合があります。私は老人ホームで発生した感染性胃腸炎20名に対して、全例で漢方薬3日分だけを投与して、経過を見てみました。平均年齢は80歳を超えています。その結果、すべての人が、3日以内に回復していました。漢方は少し苦くて飲みにくいのですが、カプセルになった製剤もありますので、ほとんどの場合飲むことができます。これさえあれば、ノロウイルスは怖くありません。あまり症状が強くなると薬を飲むのが辛いですから、できるだけ早めに受診して、漢方を飲んでいただくことをお勧めします。まさに、冬の常備薬です。

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