むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 胃と冷えの問題について

    胃は不思議な臓器で、食べた肉は消化するのに自分自身(胃壁)の筋肉は融けません。なぜでしょう。それは、胃の粘膜に胃壁を胃酸から守る粘液があるからであり、もう一つは胃の粘膜は血流豊富で、浸透してきた胃酸はすぐに血流で洗い流されるからです。また、傷んだ胃壁は新しい細胞にどんどん置きかわるからなんとかなっているのです。

    そう考えると、胃に悪いのは、胃酸を過剰に増やすもの、胃の血流を落とすものと、胃の粘液を減らすものだということがわかります。食べ物や薬剤で考えると、アスピリンをはじめとする解熱鎮痛剤は胃粘膜の血流を落とし、粘液の産生も低下します。強いアルコールもものすごく胃に悪いです。お酒を飲んで頭痛がするからといって頭痛薬を飲むというのは胃にとってはアルコールと鎮痛剤のダブルパンチです。もう一つ、胃の血流を落とすのが、ストレスです。あれこれ思い悩むことで、胃が痛みます。これは胃の血流が落ちて、逆に胃酸が増えた結果胃の表面が傷ついている証拠です。胃カメラをすると、だいたい強いストレスにさらされて4−5時間で胃粘膜からは出血してきます。

    もう一つ問題なのは、温度刺激です。胃は神経が鈍いので、熱い冷たいはほとんど感じません。だからと言って、やけどするように熱いものを食べたり冷たいものを食べすぎたりすると、その時はわからなくても後から問題が出てきます。熱いものが悪いのは皆さん言わなくてもわかるでしょうから、冷たい方だけ書いておきます。例えばジョッキにギンギンに冷えたビールが入っているのを想像してください。取っ手をもてばいいですが、取っ手を使わずにそのジョッキを手で抱えると、何分持っていられるでしょう。1分でも手はかじかみ、痛くなるでしょう。しかし、人はそれを一気に飲み干し、なんともないのです。無論なんともないわけでなく、なんとも感じていないだけです。

    冷たいビールやアイスクリームは嗜好としては美味しく楽しめますが、私が考えるのはその低温を打ち消すだけの温かいものも食べておかないとバランスが取れないであろうということです。冷えが体に悪いことは先日も書きましたね。thumb_img_0172_1024