尋常でない暑さが続きますね。
7月に入ったばかりというのに、すでに連日、熱中症の患者さんが来院されています。特に中高生の体育会系の部活動などは、この暑さの危険性をもっと真剣に考えてほしいと思います。
室内で涼しく過ごしていても、「頭痛」や「倦怠感」が強くなったと訴えて受診される方も多く、これも熱中症の一種と考えられます。昔の言葉で言えば「暑気あたり」です。「あたり」は漢字で「中(あた)り」と書きます。矢が的に当たるのは「的中」、それになぞらえて熱に中たるのが「熱中」、暑さに中たるのが「暑中」です。「暑中お見舞い」という言葉も、ここから来ていると思われます。
この「暑気あたり」は、熱中症の一歩手前のような状態ともいえるでしょう。脱水があれば点滴を行いますが、漢方が意外とよく効きます。
中国の長い歴史の中でも、暑さ寒さの季節変動に対処する必要がありました。そうした経験を積み重ねて編み出された、暑気あたりに対する処方が今に伝わっているのです。
この暑さで、血圧が下がっている患者さんも多く見られます。
実際、今日だけでも10名以上の方の降圧薬を軽くしました。今は、薬を減量したり、場合によっては中止するチャンスでもあります。ただし、自己判断でやめるのではなく、まず家庭血圧を記録してからご相談ください。
利尿剤系の降圧薬が処方されている場合は、まず脱水予防のため、そこから中止していくことが多いです。その影響で多少むくむこともあるかもしれませんが、この暑さでは、できるだけ利尿剤は避けたいと考えています。
ただし、心不全の既往がある場合は、利尿剤の調整は慎重に行う必要があります。
「むくみ」についても、少し補足します。
高齢の方では足のむくみがよく見られます。話を聞いてみると、「デイサービスに行くと、一日中椅子に座っている」とおっしゃる方が多いです。
自宅では、畳の上でゴロンと横になったり、ベッドで昼寝をしたりすることもありますが、施設ではそういった体勢になりにくく、座りっぱなしの状態が続きます。
この姿勢がむくみの原因です。長時間座っていると、重力の影響で血液や水分が下肢にたまり、心臓の方へ戻りにくくなるのです。
もちろん、肝臓や腎臓、心臓の機能不全、ホルモン異常が原因のむくみもありますが、多くの場合は、単純に「座っている時間が長すぎる」ことが原因です。
本来は足を動かす運動が理想ですが、それが難しい場合は、ふくらはぎのマッサージ(指圧)をするとよいでしょう。市販のマッサージ機器を使うのも一つの方法です。