家の掃除はほぼルンバに任せっきりです。お風呂に入っている間やジムに行っている間に、勝手に掃除をしてくれるのでとても助かっています。そんな中、ネットニュースを見ていたら、ルンバのメーカーであるiRobotが倒産する可能性があると話題になっていました。会社の存続が危機的状況にあり、もし倒産すれば、フィルターやブラシなどの交換部品の供給がストップするかもしれません。さらに、クラウドを活用した間取りのマッピングデータ機能もサービスが停止され、賢いルンバがただのロボット掃除機になってしまうかもしれない、とのことでした。
これは困った話です。ハードウェアの部品はしばらくサードパーティーが供給する可能性がありますが、ソフトウェア面でどこかが事業を引き継がなければ、ルンバ本来の性能が発揮できなくなります。iRobotがここまで急激に業績を悪化させた背景には、中国メーカーの躍進があります。同等レベルの高性能ロボット掃除機が、より低価格で市場に投入されているのです。
中国製品の勢いと世界の競争
電気自動車(EV)も、中国製が圧倒的に安く、日本やドイツのメーカーが太刀打ちできなくなっています。タブレットやパソコンも、最近は中国製が安価でありながら高性能なため、他の選択肢を考える必要すら感じないほどです。トランプ大統領が関税をかけようとするのも納得できます。しかし、消費者にとっては、高品質な製品を低価格で購入できるのはありがたいことでもあります。各国の企業は、こうした競争の中でサービスの質やコストパフォーマンスを磨くしかない時代になっているのかもしれません。
もちろん、長年の歴史を持つ老舗ブランドの強みも健在です。
車はベンツ、万年筆はモンブラン、髭剃りはブラウン、バッグはヴィトン、パソコンはIBM(現レノボ)、腕時計はロレックス、カメラはライカ。
こうした一流ブランドは、長年の歴史と圧倒的な品質によって今でも安心して購入できます。しかし、やはり値段は高いです。そこへ、中国メーカーが品質を向上させながら低価格で製品を提供してくると、既存ブランドにとっては大きな脅威となります。
医療業界における「品質」とは
私たちの医療業界では、価格は公定価格で決まっており、勝手に値下げすることはできません。そんな中で、「内科です。血圧の管理が得意です」と言ったところで、同じようなクリニックは無数にあり、埋もれてしまいます。競争が激しい中で生き残るためには、他院が真似できないほどの圧倒的な品質を提供することが不可欠です。それは、治療成績の向上、患者さんへの思いやり、そして心のこもった診療といった要素に表れます。
ただし、「丁寧に時間をかける」ことが必ずしも最善とは限りません。今求められているのは、テキパキと効率よく、しかもハイクオリティな診療。その両立こそが、現代の医療現場で求められる価値なのではないでしょうか。日々、患者さん一人ひとりの要望に最大限応えられるようなサービスを提供することを心がけ、努力を続けています。