むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • 発汗を治療する方法

    漢方を専門にしていると、汗が困ると言う相談がたくさん来ます。一番多いのは更年期の発汗です。こんなに寒いのに自分だけカーッと暑くなって発汗する。首から下は逆に冷えていて寒熱が錯雑した状態にあります。こういう相談のときは加味逍遙散が考えられますが、産婦人科や内科の主治医の先生がこの処方を出されたけど、治らないと言って私のところに来られる方が多いのが現状です。そのような場合、女神散という処方を出します。多くはこれで解決しますが、まだ治らないというときは温清飲を使ってみたり、女神散に温清飲を合わせてみたりと工夫します。

    次に多いのは多汗症の相談です。手汗、脇汗、額からポタポタ汗が落ちてしまうなど。こういう症状はやはり夏のほうが多いので、今は少ない時期です。防已黄耆湯を使うことが多いです。精神的な緊張が症状を悪化させる場合、柴胡加竜骨牡蛎湯などを併用することもあります。体が弱く皮膚の毛穴の締りが悪くて汗をコントロールできないような場合は、補中益気湯や黄耆建中湯などで気を補って治療します。

    3つ目に多いのは寝汗です。寝ているときだけびっしょりと汗をかくというもので、夜に何度も下着を変えないと寒くなる。寝汗の原因は体力低下のことが多く、この時期だとインフルエンザやコロナにかかったあとしばらく体力が十分回復しきれずに寝汗が出ることがあります。体力の回復に朝鮮人参を含む十全大補湯、人参養栄湯などが有効です。また、風邪などの病後の場合は柴胡桂枝乾姜湯がよく効きます。

    実は私も昨夜、いつもと同じくらい軽く暖房を入れた寝室で、いつもどおりの布団で寝ていたのに、深夜暑くて暑くて汗が出て来ました。これって寝汗?初めてでした。パジャマが湿っぽくて気持ち悪いので着替えました。その後しばらくしたら今度は足がつって、あまりの痛さに冷や汗が出ました。深夜に2種類の汗が出た珍しい体験でした。