むらかみ内科クリニック

院長ブログ

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  • ダイエットは「努力」と「継続」

    「漢方薬でダイエットをしたい」という希望で来院される方が少なくありません。しかし、実際に診察してみると、多くの方はダイエットが必要ないように見えるケースがほとんどです。それでも、ほしいと言われるので、漢方の理論をもとにいくつかのパターンで処方を検討します。たとえば、以下のような作用機序を考えます:

    基礎代謝を上げて脂肪燃焼を促す、むくみを取る、便通を良くすることで間接的に痩せやすくする、食欲を抑えて間食を減らす

    うまくいけばこれらの作用が期待できますが、注意していただきたいのは「飲めば確実に効く薬ではない」ということです。

    昨日、コレステロール治療薬について書きました。コレステロール治療薬は、飲むことで確実に数値を下げる効果がありますが、それが実際に心血管疾患を予防する効果となると、治療を受けた25人中1人にしか目に見える成果が出ません。同じようにダイエット漢方薬では、効果を実感できるのは私の印象では10人に1人程度です。

    漢方薬を過信することは避けるべきです。特に、効果が感じられない場合、無理に続けるのはかえって危険を伴うこともあります。多くの人が漢方薬には副作用がないと思い込んでいますが、それは誤解です。私のように多くの患者さんに漢方薬を処方している立場では、年に1~2人程度、入院が必要なほどの副作用(間質性肺炎や薬剤性肝障害)を経験します。これらは予知できないため、どれほど注意していても突然起こり得ます。

    漢方薬を漫然と飲み続けることはリスクを伴います。効果が感じられない場合は、使用を中止することを検討してください。

    以前も書きましたが、脂肪1グラムには約9カロリーのエネルギーがあります。生体の脂肪には水分なども含まれるため実際は7カロリー程度です。もし3キロ痩せたいとすると、7×3000g=21,000カロリーを消費する必要があります。

    私は、毎日チョコザップでランニングをしていますが、1回の運動で消費するのは約210カロリーです。従って、これを100日間続ければ、食事量を変えなくても3キロ痩せる計算です。たかが3キロでも相当な努力と継続を要します。

    「美味しいものを食べながら、ちょっと漢方を飲んだら痩せる」などという都合の良い話は、理論的にもあり得ません。漢方薬を服用することをきっかけに「甘いものを控えよう」「毎日運動しよう」と生活を見直すことは、大きな成果につながる可能性があります。漢方薬は万能薬ではありません。正しい使い方をしながら、生活習慣の改善に取り組むことが、ダイエット成功の鍵です。焦らず、着実に努力を続けていくことをお勧めします。

    OLD SOULにて